アレクサとバーミキュラとたわし(亀の子)

道具

「アレクサ、バーミキュラで焼き料理を開始して」これは我が家でハンバーグなどの焼き料理をする時の掛け声だ。するとアレクサが「基本の強火を開始して下さい」と返してくれる。何を隠そう我が家のフライパンはIoTなのだ! アレクサとバーミキュラと亀の子たわしの組み合わせは楽器の演奏に似ている、そんな話。

バーミキュラをご存知だろうか? 愛知県名古屋市にある老舗鋳物メーカーである愛知ドビーが作っているメイド・イン・ジャパンの鋳物ホーロー鍋だ。私は名古屋出身なので地元の企業を応援したいという気持ちがあり、帰省した際にバーミキュラビレッジという創業の地にあるショップへ行ってフライパンを購入した。

バーミキュラのフライパンは鉄ではなく鋳物ホーローだ。詳しい事は良く分からないが鋳鉄の良さとホーローの良さを組み合わせたいいとこ取りの効果があるらしい。鋳物の鉄は蓄熱性が非常に高いため、同じ火加減でも他の材質と比べてすばやく温まるそうだ。バーミキュラのホーローは水がなじむ特殊な性質を持つホーローという事で鋳鉄と組み合わせる事で水分が瞬間的に蒸発するそうだ。フライパンを買った時についてくるレシピブックでも『箸の止まらないもやし炒め』が紹介されている。もやしから出る水分が瞬時に蒸発する事で内部に旨味が凝縮するとの事だ。実際に作ってみたが、確かにベチャっとしない美味しいもやし炒めに仕上がった。

そんな良い事尽くめのようなバーミキュラのフライパンだが、使い方にちょっとしたコツがいる。使い方の本に書いてあるのだが、まず30秒ほど『基本の強火』で余熱をする、その後に油を入れてなじませて、ガスの場合は追加で1分ほど待ってしっかり煙が出てから調理を始める必要がある。さらに目玉焼きなどの焦げ付きやすい料理の場合は煙が収まるのを待ってから火を止めたまま食材を入れて、少し待ってから弱火でじっくり火を入れる必要があるのだ。

バーミキュラを買って使い始めた頃はなかなか食材を入れるタイミングがつかめずに上手く料理をする事ができなかった。試行錯誤の末にたどり着いたのがフライパンのIoT化だ! アレクサに「バーミキュラを開始して」と言うと「基本の強火を開始してください」と返ってくる。30秒後に「油を入れて下さい」と続く。炒め物の場合は1分後に「料理を開始して下さい」となり、焼き物の場合は1分後に「煙が収まるのを待って下さい」、更に30秒後に「料理を開始して下さい」となる。

バーミキュラの料理のコツのタイミングをアレクサが教えてくれるように定型アクションを登録したのだ。アレクサを活用するようになってから劇的にバーミキュラが使いやすくなった。目玉焼きも焦げ付かずにきれいに焼けるし、餃子もパリっと焼けるし、パエリアまで作れてしまう。バーミキュラのおかげで料理の幅も広がったし仕上がる料理の味が2段階くらいアップした。バーミキュラが来てから料理が格段と楽しくなった。

料理が美味しく出来るバーミキュラは亀の子たわしと組み合わせると環境にも優しい。バーミキュラを洗う場合は金属製のたわしなどの固い物は避けるように説明書に書かれている。そこで私が使っているのは「白いたわし」だ。サイザル麻(やわらかめ)という素材で作られており、腰のある繊維が汚れを落とすため、少々の油汚れであれば洗剤を使う必要がないのだ。バーミキュラは基本的には焦げ付かない。焦げ付いても水を入れて沸騰させれば汚れが浮き上がってくる。その状態で白いたわしでさっと流せばきれいになる。洗剤を使う必要が無いので環境にやさしいし、お手入れが楽なのだ。

ちなみに私が住んでいる家の近くに亀の子たわしを作っている西尾商店がある。亀の子たわしを使うのも地元の応援になっているのだ。亀の子たわしには白いたわし以外にも様々な用途のたわしが売っており、我が家では4つのたわしを使いこなしている。スポンジも作っており、このスポンジも水切れが良くとても使いやすい。我が家の水回りは亀の子たわしに支えられていると言っても過言ではない。

楽器の演奏ではリズム感やタイミングが重要である。我が家ではバーミキュラで料理するタイミングはアレクサが指揮者の如く指示してくれる。楽器で良い音を出すには楽器のお手入れが欠かせない。バーミキュラのメンテナンスは亀の子たわしで簡単エコにきれいな状態に保つ事ができる。

私は楽器が弾けないが、アレクサの指揮のもと、今日もバーミキュラで美味しい料理を作るのである。部屋とワイシャツと私的なこの組み合わせは本当にお勧めなので是非試して欲しい。

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