父の日のプレゼントが見向きもされなかったまさかの理由

道具

「お父さんにも父の日のプレゼントを贈ってあげて」と正月に帰省した時に母から頼まれた。私は母の日もあまり興味が無く結婚するまでカーネーションを送った事はなかった。結婚してから妻が義母に贈るというので一緒に母にも送っていた。今まで母の日のプレゼントも無かったので不満はなかったらしいが、父の日にもらえないという事で父が拗ねているというのだ。そんな訳で父の日のプレゼントを贈ったのだが、見向きもされなかったのである……。

「お父さんは仕事の時にバンダナ巻いているからバンダナとかどう?」と母が見せてくれたバンダナは緑のペイズリー柄のバンダナだった。「毎日仕事で巻いているのですぐダメになるの。だからいつも100円均一で買っているの」との事だった。確かに父は仕事の時にいつも巻いている気がする。「うん、分かった」と軽く返事をしておいた。

月日は流れ、毎年のごとく母の日には花を贈ったが、父の日のプレゼントは忘れていた。父の日が迫ったある日、妻と散歩中に100円均一の店の前を通った際に、正月に母から言われた事を思い出した。父の日のプレゼントにバンダナを買いたいと妻に伝えたところ、「プレゼントが100円均一でいいの?」と言われたが、仕事で使ってすぐ痛むので100円均一で良いと伝えて、バンダナを探した。母が100円均一で買うと言っていた通り、同じ柄のバンダナが売っていた。青、赤、緑、黄色とカラーバリエーションが豊富だった。母に見せてもらったバンダナは緑だったので、違う色が良いだろうと思い、赤を選択した。さすがに100円均一の袋のまま送る訳にはいかないので、ラッピングしてメッセージカードを添えて贈った。

お盆に帰省した時にバンダナを使ってくれているかを父に確認したところ、「全然使っていない。だって、緑じゃないもん」と驚愕の返事が返ってきた。なんと、最重要事項は『緑である事』だったのだ。100円均一のバンダナで申し訳ないなと思っていたが、同じ柄なので使ってもらえるだろうと思っていたのに、まさか緑じゃないという理由で使ってももらえないとは思ってもみなかった。母も人が悪い。『緑である事』が重要な事は知っていたはずなのに、教えてくれないなんて。そんな訳で初めてあげた父の日のプレゼントは全く使ってもらえずに役割を終えたのだった。

そして、翌年。毎年のごとく母の日には花を贈ったが、父の日のプレゼントは忘れていた。父の日が迫ったある日、何の気なしにインターネットをしている時に昨年の苦い記憶がよみがえった。今年はちゃんと使ってもらえるように緑のバンダナを探そうと誓っていた。ちょうどインターネットをしていたので良い緑のバンダナは無いか探す事にした。昨年は時間が無かったとは言え、100円均一で申し訳無いと思っていたので、少し良い物は無いかと思い、『バンダナ 緑 ヴィンテージ』という条件で検索してみた。

検索結果にはたくさんの緑のバンダナが表示された。その中でひと際目を引いたのがリーバイスのバンダナだった。調べてみるとサドルマンというデザインで、1970年代に作られた物のようだった。これがいい! と思いリーバイスに絞って探してみたところ、緑は珍しい色らしく全然在庫が見つからない。見つかるのは赤ばかり。しかし、赤は使ってもらえない事は昨年、証明済みなのだ。1時間くらい探してようやく在庫を発見して、無事購入する事ができた。自分でも気に入ったので自分にも欲しくなる良いバンダナを見つけられて嬉しくなった。満を持して父の日のプレゼントに贈ったのだった。

お盆に帰省した時にバンダナを使ってくれているかを父に確認したところ、「あれは緑だからいい。使っている」との事だった。父にとってはリーバイスのヴィンテージである事は重要ではなく、緑である事が重要なのだなとおかしくなった。何はともあれ気に入って使ってもらえて何よりである。私はヴィンテージでも道具は使った方が良いと思っているので、父に沢山使ってもらっていい感じに味が出てくれたらいいなと思っている。

1970年代にアメリカで作られたバンダナを50年後の日本で私の父が頭に巻いて庭師の仕事をしている。リーバイスもびっくりしているだろう。皆さんも父の日にリーバイスのヴィンテージのバンダナを贈ってみてはどうだろうか。ヴィンテージと言ってもそんなに高くは無く、ロマンがあるのでお勧めである。その際にはくれぐれも色の選択を間違えないように注意して下さいね。

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