「こんな寄席があるみたいだよ」とかべちゃんに言ってみた。流石に興味を示さないと思っていたのに「行ってみたい。やってみたい!」と予想外の反応が返ってきた。誘っておいてなんだが、「まじか……」と思ってしまった。
先日、リシャーダ寄席という異色コラボ寄席に行ってきた。これはMTGというカードゲームとコラボした寄席だった。そこで落語をしていた三遊亭金の助さんがミニヨンランチ寄席をやると言うのだ。ミニヨンランチ寄席が何かと言うと、寄席を聴きながらランチを食べて、寄席が終わったらミニ四駆で遊ぶらしい。かべちゃんがミニ四駆に興味があると思っていなかったので、思わず「本当に行くの?」と聞いていた。「子供の頃、弟がミニ四駆で遊んでいるのを見ていたけど、やった事が無いのでやってみたい」との事だった。
なるほどと思い、昔ミニ四駆で遊んだ記憶がよみがえり、じゃ、行ってみるかと言う事になった。ミニ四駆は貸してもらえると書いてあったが、自分で作りたいとかべちゃんが言うので、新橋のタミヤ プラモデルファクトリーに行く事にした。
このプラモデルファクトリーは3階建てで、1階にはタミヤのプラモデル、地下1階にはリモコンカーとミニ四駆が売っている。2階はモデラーズスクエアと名付けられており、ミニ四駆を作る場所と、ミニ四駆を走らせるコースがある。ある週末のランチを食べた後、プラモデルファクトリーに行った。モデラーズスクエアは時間制になっており、ちょうど前の回が始まったばかりですぐには作れなかった。時間を潰す必要が出てきたので、ミニ四駆の雑誌を買って下調べをする事にした。
近くのお洒落カフェに入って、コーヒーとお洒落プリンを注文した。ミニ四駆の雑誌にはミニ四駆の全てのシャーシ(車体の種類)とそれらのシャーシで発売されているミニ四駆の解説が載っていた。シャーシだけでも7種類、約150車種もあった。それを見ながら「これがカッコいい」とか「加速が良いシャーシがいいな」などと、およそお洒落カフェには似つかわしくない会話を繰り広げて、購入するミニ四駆を決定した。
かべちゃんは青いボディがカッコいい『シェバリア』というミニ四駆に決定。私は昔作った『シューティングスター』にしようと思っていたのだが、型が古いのかシャーシの解説が少なかったので、加速性能が良いシャーシの『ネオVQS アドバンスパック』というミニ四駆にした。プラモデルファクトリーに戻って選んだミニ四駆を購入。工具を貸してもらえると思っていたのだが、貸してもらえなかったのでニッパーとドライバーも併せて購入した。
2階のモデラーズスクエアは時間制で1時間半300円。「初めてミニ四駆を作ると1時間くらいかかるけど大丈夫ですか?」と聞かれた。子供の頃の記憶では簡単に作れていたと思うので楽勝だろうと考えていた。「大丈夫です」と力強く答えて、お金を払い、2階へ。モデラーズスクエアは人気があり、受付開始の時間にはレジに行列ができていた。
2階に上がると5レーンの本格的なコースがあり、その周りに作業をするための机が並んでいた。ミニ四駆を作らない事には立派なコースで遊ぶ事が出来ないので、早速組み立てを開始した。箱を開けると懐かしい感じのパーツがぎっしり入っており、ワクワクしてきた。かべちゃんはプラモデルを作るのも初めてだったので、何から手を付けていいのかも分からない状態だった。パーツに番号が振ってあるので、説明書に書いてあるパーツを切り取って組み立てる事を教えたら自分で作り進められるようになった。
最初のうちはかべちゃんをフォローする余裕があったのだが、だんだんと自分の分を作る事に手一杯となってきた。毛ガニを食べている時のようにお互い口数が減ってきて、もくもくと組み立てを進めた。大人になって手が大きくなったからなのか、細かい部品を組み立てるのがとても難しい。しかも、私が買ったアドバントパックは普通のミニ四駆よりも部品が多かった。その為、1時間20分を過ぎても組み立てが終わらない……。
1回は走らせたいと思っていたので、一部のパーツは付けずにコースへ。電池をセットして電源を入れるとシャーッと気持ちいい音を立ててモーターが回る。とても懐かしい感覚だ。スタート位置についてかべちゃんと一緒に走らせる。私のミニ四駆はアドバンスパックで普通より速いモーターが入っていたようで、あっという間にコースアウトした。かべちゃんのミニ四駆はノーマルモーターだったので、安定の走りで完走した。
1回では満足できなかったのでもう1回走らせる事に。今度は小学生らしき3人組と一緒にレースをする事になった。私のマシンは先ほどと同様にすぐにコースアウトし、かべちゃんのマシンは先輩小学生のマシンに周回遅れで追いつかれてしまうという結果に終わった。
あっという間の1時間半だったがもの凄く楽しかった。終わった後、ミニ四駆売り場に戻って、かべちゃんは速いモーターを新たに購入した。ミニヨンランチ寄席に向けてやる気満々である。私も普通のマシンが欲しいという事で想い出の『シューティングスター』を購入する事にした。ミニヨンランチ寄席までには組み立てておこうと思う。
三遊亭金の助さんの異色コラボ寄席の広告から新たな趣味の沼に足を突っ込んだ気がする。ミニヨンランチ寄席が今から楽しみである。ミニヨンランチ寄席の感想は別の記事で書きました(https://szkb.net/2023/08/04/essay0029/)。