「全然欲しいイメージと違うのだけど……」なかなかこちらの意図が伝わらない。AIとのコミュニケーションは野球の自主練みたいだと感じた。
私もかべちゃんも絵が書けない。ブログを始めるにあたってアイコンやアバターやトップ絵は誰かに書いてもらおうと思っていた。候補は二人いて、一人は弟、もう一人はいとこの子。最初に弟に頼んだのだが、断られた。いとこの子のLINEは知っているが、しばらく会っていないので頼みにくい。
仕方なくアイコンもトップ絵も無い格好悪い状態でブログを運営していた。アイコンはブログの顔にあたる大切なところなので早くなんとかしたいとずっと気になっていた。
そんな折、通っていたライティングゼミが終わった後に、AIに関する Youtube の配信をするので観ていかないかと誘われた。AIには興味があったが未だ使った事が無い時だったので観ていく事にした。
その中でChatGPTの使い方から、何かを考えさせる方法などが説明された。後半になるとMidjourneyという画像生成AIで絵を描かせる方法も説明してくれた。ChatGPTに描画したい風景の文章を作成させ、それをMidjourneyに入力するだけで、4枚の絵があっという間に描かれた。画像生成AIはここまで進んでいるのかと驚かされた。
これを観て、これなら絵を描けない私達でもブログのアイコンを作る事が出来るのではないかと思った。
そこで早速10ドル払い天才絵師MJを雇ってアイコンを描いてもらう事にした。
出来上がりのイメージは全くなかった。すずとかべちゃんが色々な事を発信するブログなので、『bell, wall, colorful』をキーワードに描いてもらった。
あっという間にカラフルな鈴と壁の絵が描かれた。細かく描かれた絵は見ていてきれいだなと感心する出来だがアイコンにできる絵ではなかった。何が問題か考えてみた結果、アイコンに背景はいらない事に気付き、背景無しで依頼した。
しかし、なかなか背景を消してくれない。人にお願いするなら「背景無しでお願いします」と言うだけなのにAIか相手だとなかなかこちらの意図が伝わらない。あれ? こいつは天才絵師ではなくて、コミュ障なのではないかと思い始めた。天才絵師ならぬコミュ障絵師なのではと。
出来た絵をアイコンに設定してみたがしっくり来ない。何が問題点かとGoogoleやFacebookなどの既存サービスのアイコンを見て考えたところ、アイコンは抽象化された図形で色がはっきりしているのだ。コミュ障絵師に描いてもらった絵は細かく描き込まれておりアイコンというより絵なのだ。
気づいたのは良いがそれをコミュ障絵師に伝えるのが大変だった。色々な試行錯誤の結果、『icon』のキーワードよりも『logo』のキーワードの方が良い事が分かってきた。さらに丸いアイコンがいいなという事で『circle logo』とする事で丸いアイコンが作られるようになってきた。『simple』というキーワードを追加する事で既存サービスのアイコンに近い物ができるようになってきた。
指定する雰囲気によって印象の異なるアイコンが作れる事も分かってきた。最初は静謐な雰囲気が良いと思い『tranqil』を指定していたが、落ち着きすぎているのでもっと楽し気な雰囲気にしたいと思った。そこで推しのaikoのライブツアーのタイトルになっている『Love Like Pop』な雰囲気を指定する事にした。その結果、とても良い雰囲気のアイコンが描く事ができた。
私もかべちゃんもこれがいいと思う候補が出来たのに更なる問題が出てきた。アイコンの中に変な文字が入っているのだ。人であれば「この文字を消して下さい」か「この文字を『szkb.net』に変えて下さい」と言えば済む話なのだが、コミュ障絵師にこの要求を伝えて修正させる事は出来なかった。とうやらMidjourneyでは特定の言葉を指定して出力させる事は出来ないようだ。
結局、文字はCanvaと言うサービスで書き換えて今のアイコンが出来上がった。2人ともとても気に入っている。全くイメージの無いところから様々な画像やアイコンを提案して描き続けてくれて感謝しかない。MJはコミュ障からもしれないが、腕は確かだ!
AIにこちらの思い通りの絵を描かせるのは野球の自主練に似ている。カーブを思い通りに投げられるようになるために握りを変えてみたり、腕の振りを工夫してみたり試行錯誤を繰り返す事でだんだん上手くなる。AIに思い通りの絵を描かせる為にはまず描かせてみて、キーワードを変えてみたり、追加してみたり試行錯誤が必要だ。あと少しこうして欲しいとなった時が大変だ。人にお願いしているなら一言伝えれば終わる指示もAIに理解させるのは難しい。
しかし、AIが天才だと思わずコミュ障なんだと理解していればコツコツ丁寧な指示を出してあげればいつか思ったような絵を描かせる事ができる。画像生成AI楽しいですよ。絵が描けないとあきらめていた人はぜひ試してみて下さい。