「『パリピ孔明』って『もしドラ』だよね」と妻が言う。「どういう意味?」と聞き返すと説明してくれた。なる程と思った。『もしドラ』はもの凄いブームとなった。共通点の多い『パリピ孔明』も大ヒットするかもしれないと『パリピ孔明』を見終わった今、しみじみ思った。
孔明とは、中国の三国志時代に活躍した有名な軍師で、彼は智謀と戦術で知られ、劉備に仕えていた。軍師とは、戦闘で策略や計画を考える専門家の事だ。孔明はその智謀で様々な困難な状況を策略で切り開いてきた名軍師だ。
パリピ孔明では名軍師である孔明が星型のパーティーサングラスをかけて描かれている。何がどうなったら孔明がこうなるのか観る前はさっぱり分からなかった。そもそも孔明がパリピと言うのも良く分からない。
物語は孔明が亡くなるシーンから始まる。横山光輝の三国志では『秋風五丈原』と言うタイトルだったと思う。秋風吹く五丈原で孔明は命を落とす。そう、秋に。
秋の渋谷と言えば、ハロウィン! 五丈原で命を落とした孔明は現代の渋谷に甦る。ハロウィンと言えばコスプレ。孔明は完成度の高いコスプレをしている人としてすんなり受け入れられる。
パリピにクラブ連れて行かれ、そこで現世の我が君、月見英子と出会う。月見英子は売れない歌手。その歌声に惚れて英子の軍師になって世界一のフェスの参加を目指すと言うのが大まかなストーリーだ。
このアニメの見処は2つ。1つ目は歌だ。
歌を題材にしたアニメはやっぱり歌がしっかりしていないと面白くない。パリピ孔明の中で最も歌われている曲は『I’m still alive today』この曲は英子だけではなく色々な人が歌うし、色々なバージョンがありその時々で表情を変える。意識的に聴き比べながら観るのも面白い。
もう1曲キーとなる曲は『六本木うどん屋(仮)』改め、『DREAMER』だ。英子が自作した曲で『六本木うどん屋(仮)』の時にはギターしか無かった曲が世界的なアレンジャーの手により『DREAMER』に生まれ変わる。曲を作った経験は無いがアレンジによりこんなにも曲は変わるのだと驚かされる。是非こちらも聴き比べて欲しい。
パリピ孔明の最大の見処はなんと言っても孔明が繰り出す計略だ!
三国志において孔明は様々な計略を繰り出すが、パリピ孔明において最初に繰り出すのはなんとあの『石兵八陣』だ! 三国志を読んだ事無い人には「あの」と言われてもさっぱりだと思うが三国志好きならこの現代でどうやって? と、なんのために? と不思議に思うだろう。そこは是非その目で確かめて欲しい。
『石兵八陣』を知らない人も安心して欲しい。ちゃんと作中で説明がある。本当に簡単に説明すると一度入ったら二度と出る事ができない陣の事だ。孔明はこの『石兵八陣』を使い主君である劉備を救ったのだ。さて、孔明はなんのために現代で『石兵八陣』使ったのか不思議に思いませんか? 三国志を知らないあなたもその目で確かめて欲しい。
この他にも三つの巾着、10万本の矢、兵法三十六計の無中生有、孫子の兵法など様々な計略を繰り出す。それらにより英子の人気がじわりじわり上がっていくのが面白い。それぞれの計略がどのような効果を産んだのかも楽しんで頂きたい。
この他に三国志好きにたまらないのはクラブのオーナーと孔明とのやりとりだ。「泣いて馬謖を切る」の裏話であったり、孔明が赤兎馬に乗ったと言う三国志には出てこないけど本当にあったかもしれない話など、三国志を知っている人にはニヤニヤできるポイントが至るところにある。
もしドラはドラッガーの教えで弱小野球部が甲子園を目指す。ドラッガーの教えが孔明の繰り出す計略、弱小野球部が売れない歌手月見英子。ね、似ていると思いません? 経営の神様と野球、名軍師と歌手。全く関係無いと思われるものが作用しあって栄冠を目指すストーリーは観ていてワクワクします。是非、皆さんもこの奇妙な化学反応を楽しんでみて下さい。