『誰が勇者を殺したか 勇者の章』はクアトロフォルマッジ

読書

『誰が勇者を殺したか 勇者の章』は『だれゆう』こと『誰が勇者を殺したか』の3作目です。既に二冊出ていて三作目にはどんな仕掛けが施されているのか? 楽しみです。

『だれゆう』で重要なのは誰が勇者なのかです。そもそも一作目で既に勇者は出てきていて既に殺されているのに、その後に二冊目が出ることも不思議ですが、さらに三冊目です。どれだけ勇者がいるのでしょう!

三作目の勇者は隣国リュドニアの王子カルロスです。一作目で本物の勇者は明らかになっているので当然カルロスは本物の勇者ではありません。勇者の素質があり場合によっては勇者だったかもしれない人物です。リュドニアの勇者カルロスを誰が殺したかがメインの謎になります。

今作は勇者が旅に出た直後のお話になります。剣聖レオン、大賢者ソロン、聖女マリアとパーティーを組む過程は一作目で描かれていました。正直相性の良くなさそうな三人が勇者を中心としてパーティーとしての連携を深めていったかが描かれています。勇者を中心とした個性的な三人の振る舞いが面白いです。

今作のもう一つの目玉は『シェイプシフター』です。人間の姿になれるという神に近い存在。そんなシェイプシフターがリュドニア内部に魔物側のスパイとして入り込んでいるのです。誰がシェイプシフターなのかが2つ目の謎です。誰が勇者を殺したのか? 誰がシェイプシフターなのか? 1粒で2度美味しいグリコのようです。

私が『だれゆう』の醍醐味だと思うのは西尾維新先生の戯言シリーズのように2度謎が解かれるところです。深く推理せずに読んでいても、この人が勇者を殺したのかなっとなんとなく分かります。読み進めると推理通りに勇者は殺されるのですが、さらに読み進めると真相が、本当に勇者を殺したのは誰かが明らかになります。『勇者の章』ではシェイプシフターにも同様の仕掛けが施されています。勇者とシェイプシフターのそれぞれで1粒で二度美味しい、つまり1枚で4つの味が楽しめるクアトロフォルマッジなのです!

更に、クアトロフォルマッジに掛けるはちみつのように甘いお楽しみ要素があります。一作目のおまけストーリーに出てきたスイーツ屋の娘がどうなったか、一瞬描かれています。まさかの進展ぶりが微笑ましいです。スイーツ屋の娘のストーリは短いけれども心温まる良いお話です。気になる方は是非とも最初の『だれゆう』から読んでみてください。

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