「打ち上げ現場で火災が発生したため、いたばし花火大会は中止となります」と非情なアナウンスが流れた。とても楽しみにしていた4年ぶりのいたばし花火大会が中止だなんて……。しかし、いたばし花火大会はアーモンドグリコのような花火大会なので十分楽しめました。
日本中に様々な花火大会があると思いますが、我が家はここ15年くらいいたばし花火大会一択である。結婚して板橋区に住んでいた頃に存在を知ったのがきっかけだ。魅力は様々あるのですが、特筆すべき魅力は有料指定席がある事でしょうか。最初は贅沢かと思ったのですが、一度有料指定席を体験してしまうと、席が確保されていない花火大会には行けない体になってしまいました。
いたばし花火大会もコロナには勝てず、中止が続いていましたが、今年は4年ぶりの開催が決まりました。これは行くしかないと早速チケットを購入しました。今までは荒川の土手沿いの席を取っていたのですが、今年は陸上競技場席というのを取ってみました。
都営三田線の西台駅で降り、荒川の河川敷まで15分くらい歩きます。毎年ひどく暑いのですが、今年は風があって暑さがいくらか和らいでいました。陸上競技場席は河川敷に着いてすぐの場所でした。土手沿いの席はここから更に歩く事になります。かべちゃんが浴衣に下駄なので少しでも歩く距離が短いのは助かります。陸上競技場席の周りには大きな木が何本かあり、18時頃にはほとんど日陰になっていてこれも助かりました。毎年、席についてから日が沈むまで太陽にあぶられるのが辛かったので。
陸上競技場席には4人掛けのテーブル席とブルーシートで楽しめるグループ席とイス席の3種類があります。私達はイス席だったのでパイプ椅子でした。椅子に座って花火を見られるのはとても楽でした。4人集まるならテーブル席が良さそうです。食べたり飲んだりくつろいで花火を楽しめそうです。
いたばし花火大会は人出のわりには露店が少ない印象です。それなので毎年お弁当を持って行っています。陸上競技場席には専用のフードコートがあるようなのですが、混み具合が分からないので例年通りお弁当にしました。そのフードコートは18時頃だとやきそばやたこ焼きなどの定番は行列でしたが、チキンライスとかケバブなどはすぐ買えそうでした。来年も陸上競技場席にするならお弁当を減らしてフードコートで買うのもありだと思いました。人が増えてくるとどこも行列になると思うので早めがお勧めです。
19時から区長のあいさつから始まり、板橋区に住んでいる杉浦太陽さんのあいさつがあって、いよいよ打ち上げのカウントダウンです! 毎年30から始まっていた気がするのですが、今年は少し短めの20からカウントダウンでした。4年ぶりに観る花火は格別でした。陸上競技場席だと横から観る感じでしたが、そこまで気になる事もありませんでした。打ち上げ場所から近いので迫力が凄いです。
いたばし花火大会の見どころの1つに芸術玉の競演があります。日本全国の花火師さんが腕によりをかけた花火を1発ずつ名前付きで上げてくれるのです。「昇朴付三重芯変化菊」とか「昇曲付南国ヤシに雪牡丹」など。言葉の意味は良く分かりませんが、とにかく凄く綺麗です。それぞれ全く違った変化を観る事ができて花火の奥深さを感じられます。
いたばし花火大会には魅力がいくつもあるのですが、もう1つの見どころと言えば大ナイアガラの滝です! 600mにもおよぶ大ナイアガラは圧巻です。初めて観た時は感動した事を覚えています。それほどの迫力です。しかし、陸上競技場席は大ナイアガラからは離れていて、大ナイアガラは見られません。代わりに100mの専用ナイアガラの滝が用意されています。これも綺麗でしたが、大ナイアガラの滝には敵いませんでした。
異変があったのはこの後です。なかなか次の花火が上がらないと思っていました。それと大ナイアガラの方がずっと明るいのが気になっていました。そこへ「打ち上げ現場で火災が発生したため、いたばし花火大会は中止となります」とアナウンスがあったのです。どうやら大ナイアガラ方が明るいのは火事で燃えているからのようです。会場がざわつくなか帰る人もちらほらいた。しかし、いたばし花火大会がアーモンドグリコのように1粒で2度おいしい花火大会だと知っている私達はあわてませんでした。
しばらくすると花火が打ちあがりました。実はいたばし花火大会は荒川を挟んで対岸で戸田橋花火大会が同時に行われています。つまり戸田橋花火大会は中止していないのでまだまだ花火は楽しめるのです。いたばし花火大会側は終わりムードで迷子の案内が流れている中で花火は続いていました。さらにはすぐそこの道を消防車がサイレンを流しながら走って行くのを感じながら花火を楽しみました。消防車と花火の組み合わせはなかなか見られる物では無いと思います。
普通の花火大会であれば火事で中止になったらそれ以降、花火は楽しめないと思う。しかし、いたばし花火大会は一味違って火事でも最後まで花火が楽しめるのだ。例年に比べたら花火の量は少なかったと思うが、中止で全く花火が楽しめないよりはよほど良い。逆に言えば火事さえなければそれこそ凄い量の花火が上がるので最後のスターマインの迫力は圧巻だ。来年は天空のナイアガラを観られる事を願っている。
本当に願っている。火事を起こしてしまったので来年以降中止という判断にならない事を祈っています。毎年楽しみにしている大好きないたばし花火大会が今後も続きますように! 誰に伝えればいいか分かりませんが、陰ながら応援している事が伝われば良いなと心から思っています。