「コースアウトしてしまうね。そもそも根本的なところが問題なのかもしれない……」大会開始の直前にそんなダメ出しされてもどうすればいいんですか！
ひょんなことからミニ四駆を始めた（きっかけの話はこちら）。ミニヨンランチ寄席のあとの交流会を満喫した後、GEEKSのオーナーに勧められるままに『ファーストトライ パーツセット』を購入して取り付けた。これはコースアウトを防止する為のローラーやマスダンと呼ばれる重りのパーツがお得にまとまっている初心者御用達のセットだ。これを全て取り付けて走らせてみたが依然としてコースアウトする。「次は引っかかり防止ダンパーかな」とオーナーは言っていたがこの日は時間が無く取り付ける事は出来なかった。
帰る際にGEEKSのオーナーから「最初はチューンモーター限定の大会かB-MAXの大会に参加するのがいいですよ」と勧められた。「ここの店長さんは教えるのが上手いから色々教えてもらうといいよ」ともアドバイスをくれた。せっかくお勧めされた事だしと思い、良く分からないままB-MAXの大会に参加することにしてみた。
大会に参加する前にはオーナーが言っていた『ひっかかり防止ダンパー』なる物をとりつけねばと思い、大会開始の30分前にお店に入って「引っかかり防止ダンパーを付けたいのですけど」と店長さんに相談した。すると、「マシンを見せて下さい」と言われたのでシールも貼っていない真っ白なボディのシューティングスターを店長さんに手渡した。「MSか……」とつぶやいて少し考えた後、２つのパーツを持ってきてくれて、「まずこれをここに、次にこの長いのをその下に付けて」と指示された。
言われるがままに取り付けにかかる。細かいパーツに苦労しながら１つめを取り付けたところで、「スプリングワッシャーは付けましたか？」と聞かれた。説明書に書かれていないし、付けていませんと答えると、「付けた方がいいですよ」と言われた。そもそもスプリングワッシャーが入っていないのに何故付ける必要があるのか分からなかったので理由を尋ねた。「ミニ四駆のナットは弱いので外れにくくするためにスプリングワッシャーを付けた方がいいのです」と教えてくれた。
引っ掛かり防止ダンパーを付けたのでコースアウトしないだろうと思い意気揚々と走らせてみたがあっという間にコースアウトする。そもそもそんなに早いモーターでは無いのに、こんなにあっさりコースアウトするのかと愕然とした。正直、早くないのにコースアウトする理由が分からずどうしたら良いのか途方に暮れた。それを見ていた店長さんが「このダンパー外しましょう」と言った。言われたとおりに外したがコースアウトする。次に店長さんは「ブレーキにこのテープ貼ってみましょう」と言うので意味も分からずブレーキにテープを貼ったがコースアウトする。更に「タイヤを変えてみましょう」と言うので言われるままにタイヤを変えた。するとどうだろう、コースアウトしなくなったではないか！
理由が全然分からなかったので理由を店長さんに聞いてみた。「マスダンはマシンが着地したすぐ後に落ちる事でマシンが安定します。しかし、正しいタイミングでマスダンが落ちてこないと安定しないどころか更に跳ねる事になるのです。付けていたタイヤは径が大きく不安定だったので径の小さなタイヤに変えました。」と答えが返ってきた。なる程、一つ一つに理由があるのだ。奥が深いなと思った。それを的確に見抜いてアドバイスできる店長は凄腕のピットクルーだ。
大会が始まると皆さん凄く早い。私のマシンはチューンモーターという中程度の性能のモーターで全く歯が立たなかった。そこで店長さんが早いモーターを貸してくれた。練習走行をしたところ早くはなったがまたコースアウトするようになってしまった。すると凄腕ピットクルーの店長さんがやってきて「このブレーキに貼ったシールをはがして下さい」と言われた。言われるままにシールをはがしたところ、コースアウトしなくなった。何が起きているのか意味が分からない。理由を聞いてみると「このシールはブレーキを無効にするシールです。さっきまでの速度ではブレーキが必要なかったですが、この速度だとブレーキが必要です」と返ってきた。奥が深すぎる。
B-MAXの大会は他の人のマシンの速さと雰囲気を楽しんだだけだった。そもそも速度的に勝負にならなかったのだ。しかし、店長さんの的確なセッティングを目の当たりにしてミニ四駆の奥深さを体感出来た。そもそもB-MAXが何か分からなかったので店長さんに聞いてみた。「B-MAXは買ったパーツをそのまま付けたマシンで競う大会です。ノーマルというクラスはパーツを切ったり加工がOKなのでハードルが高いです」と教えてくれた。
なる程。つまりB-MAXはトレーディングカードゲームのような物だと理解した。トレーディングカードゲームは手に入れたカードを組み合わせて強いデッキを作っていく。B-MAXも買ってきたパーツの組み合わせでマシンを速くしていく。ノーマルだと勝手にカードを書き換えるような物で勝負するのが難しいが、B-MAXなら私でも戦える気がする。それぞれのパーツを研究して組み合わせて自分のマシンを速くしてみたいと思った。
B-MAXは平等な土俵で戦えるミニ四駆の大会です。ミニ四駆に興味を持った人はB-MAXから初めてみませんか？
