「お寿司屋さんがよいのですが、母が生魚を食べる事ができません。どうにかなりませんか?」と無理なお願いをしてみたところ、「亀寿司さんに確認したところ、任せとけとの事です!」なんとも頼もしい回答が返ってきた。これは『まちの飲食店常連なりきりプラン』を申し込んだ際のやり取りだ。
先日、私の両親と妻と4人で富山に旅行に行った。3泊4日の1泊目は氷見の『HOUSEHOLD』に泊まった。
旅行に行く時には『d design travel』という本で計画を立てる。『HOUSEHOLD』は『d design travel 富山 vol.2』で数行紹介されていた宿だ。『d design travel』にはあまり写真が載っていない。事前情報が少ないので、1日目の旅程を終えて、『HOUSEHOLD』に着いた時には、「ぇ、ここが宿?」と面食らった。外観では泊まるところには見えないのだ。
昭和感のあるガラスの扉を開くとオーナーの笹倉さんが出迎えてくれた。1階の台所のカウンターでおしぼりと温かいお茶を出してもらいチェックインの手続きを済ませた。「私達は隣に住んでいるので、出かける時には鍵をかけて出かけて下さい」という事で鍵のかけ方も教えてもらう。
『HOUSEHOLD』は1日2組しか泊まれない。この日は私達だけの貸し切りだった。海が見える部屋「nami」に息子夫婦が、大きな窓からテラスが見渡せる部屋「yane」に両親が泊まった。2つの部屋の間に共同のトイレとシャワールームがある。家族で泊ったのでコネクティングルームのように使えた。普通のホテルには無い面白い間取りだ。どちらの部屋からもテラスに出る事が出来て、海を見渡せる。テラスからは屋上にも上る事ができて、風が気持ち良かった。
「晩ごはんは『まちの飲食店常連なりきりプラン』で亀寿司さんを予約してあります。大将と奥さんの2人でやっている、地元の人たちに人気のお店です」と言って1枚の紙を渡された。「これは私が書いた亀寿司さんの情報です。常連客しか知らないような情報ばかりですので、行く前に読んで常連客になりきって下さい!」書いてある事はどこのガイドブックにも載っていないような情報ばかりで、オーナーさんの人柄が現れた文章はとても面白かった。他のお店の文章も読んでみたいので、次に泊まる時にも『まちの飲食店常連なりきりプラン』にすると思う。
『まちの飲食店常連なりきりプラン』で訪れた亀寿司さんには大満足だった。鱒が旬という事で生まれて初めて鱒の握り寿司を食べた。ふぐの白子はあぶってあって今まで食べた事の無い触感と火が通る事によって濃厚になった味わいがたまらない。生魚が食べられない母に出された蟹は茹でではなく蒸しで料理されており、水っぽくなく絶品。富山らしくおぼろ昆布で巻いた亀寿司オリジナルのトロタクは忘れがたい味だった。ぬる燗で供された地酒満寿泉はいつまでも飲んでいられる美味しいお酒。これだけ美味しいと『まちの飲食店常連なりきりプラン』で紹介される他のお店も気になって仕方がない。
亀寿司さんから『HOUSEHOLD』に戻る前にコンビニに寄る事にした。コンビニは忍者ハットリくんロードにある! 何を隠そう氷見は藤子不二雄Ⓐ先生の出身地なのである。忍者ハットリくんロードにはハットリくんに出てくるキャラクターの像が飾られている。なんとこの像は話す! センサーが仕掛けられていて人を検知して再生される単純な仕組みだが、いきなりしゃべり出したのでびっくりした。どんな像があり、どんな話が聞けるかは自分で行って聞いてみて欲しい。面白い話が聞けますよ。
『HOUSEHOLD』に戻ってからは両親の部屋で団らんを楽しんだ。普通のホテルだと部屋を移動するのが面倒だが、実家で弟の部屋を訪れる気軽さで移動できるのがとても良かった。
翌朝はランニングを楽しんだ。『HOUSEHOLD』は海沿いに建っている。まずは海岸沿いを南に走った。海の向こうには立山連峰が美しい。松林になるところで折り返した。今度は『HOUSEHOLD』を通り越して漁港を抜けて比美乃江大橋をこえて比美乃江公園 展望台で小休止。展望台はそんなに高くはないが、見晴らしが良くて気持ちいい。ランニングする人は是非走ってみて欲しいし、海沿いを散歩するだけでも氷見を感じられるのでお勧めだ。
ちなみに比美乃江公園の隣には富山で2番目の人気スポットと言われる『氷見番屋街』がある。様々なお土産屋さんや飲食店、温泉までありここも氷見を楽しめるスポットだ。観光支援でもらった8,000円分のクーポンが一瞬で無くなる破壊力を秘めていた。
軽く汗を流した後には美味しい朝食が準備されている。その名も『笹倉家の朝食』だ。がんもどき、氷見で採れた野菜の籠蒸し、鯛のあら汁、富山県産のお米とウドの漬物。あら汁のお味噌から蒸し野菜に付ける薬味に至るまで全て氷見の食材が使用されていた。亀寿司さんと合わせて氷見を食べつくした感じだ!
1泊という短い時間だったが、常に氷見を感じられる時間だった。氷見に行く機会があれば【氷見を満喫するのに最高の宿、『HOUSEHOLD』】に泊まって全身で氷見を感じてみて欲しい。